【国際税務コラム第6回】未来へ繋ぐ資産管理 - 最良のパートナーの見つけ方
- 公認会計士(CPA) | 岡本 信吾

- 2025年11月12日
- 読了時間: 6分

これまでの連載では、ドバイを活用した資産保有・法人設立・相続対策における、実務的かつ戦略的な視点を岡本先生とともに深掘りしてきました。しかし、いかに優れた制度や構造を知っていても、それを実行に移すのは「人」。
資産を守り、未来へつなぐには、信頼できるアドバイザーとの出会いこそが最大の資産と言っても過言ではありません。
最終回となる今回は、これまでの知識を実践に移す“第一歩”として、「誰に、どう相談すべきか」、そして「どんなチームで人生の伴走者をつくるべきか」について岡本先生に伺いました。
質問1: これまで様々な論点を伺いましたが、お客様がまず初めに行うべき「具体的な第一歩」とは何でしょうか?
海外移住によるタックス・マネジメントを考えられている方は、まずはYoutubeやブログ、書籍などいろいろな情報を集めてみましょう。その中には「ドバイに移住すれば税金ゼロ」などドバイ進出エージェントによるポジショントークや間違った情報も多くありますので、ChatGPTなどのAIを使って壁打ち(=何度もAIに質問し、ファクトチェックを行ったり疑問点を解消すること)してみるのもよいと思います。
解消しなかった問題は一度とりまとめ、専門家や信頼のおけるアドバイザーに聞いてみて、全体的な理解を深めていくという手順で進めてみてください。
ALAN:「いきなり相談」ではなく、まずは自分でも考えてみる。壁打ちという言葉どおり、AIを活用して疑問を可視化しておくことで、専門家との対話の質もぐっと深まりますね。
質問2:資産管理の成功は「誰に相談するか」で決まります。「信頼できるアドバイザー」を見極めるために、どのようにアドバイザーを選べば良いでしょうか?
アドバイザーによっては、マニュアルに従ってただ説明したり回答したりしているだけの場合があります。しかし、海外進出は幅広い知識や論点が生じる分野であり、マニュアル的な回答のみでは十分なアドバイスが出来ないケースもあります。
自分が何を最も重要視するか、例えば税金分野であればそれに強い人間をアドバイザーとすべきですし、資産運用であれば資産運用の実績のあるアドバイザーを採用すべきだと思います。
海外移住アドバイザーは俗人性が強い業種なので、その会社が仮に実績があったとして、必ずしもあなたを担当する各個人がそうであるとは限りません。担当者の過去の経歴を見たり直接話したりしながら、話している内容に整合性があるか、納得感があるか、信頼できそうか、そういった観点で選ばれると良いかと思います。
ALAN:なるほど、会社の実績ではなく担当者の資質を見る。これは何においても大切ですが、こと資産管理においては命運を分ける判断基準になりそうです。
質問3:お客様にとって理想的な「資産管理チーム」とは、どのような専門家(税理士、弁護士、金融の専門家など)で構成されるべきでしょうか?

これは運用する資産規模や運用する資産の種類にもよると思います。
株式や債券によるパッシブ運用であれば必ずしも上記のような専門家が必要であるわけではありませんし、個別株やその他事業投資などアクティブ運用を行う場合であっても金額規模が大きくなければ専門家に対してコスト割れしてしまうこともあります。
一定金額以上の資産規模及びある程度リスクテイクしていくようなスタイルであれば、弁護士、税理士や金融専門家、不動産投資の専門家など資産運用に必要なチームを組むべきだと思います。
その上で、誰がイニシアティブをとって動くのか。意思決定をするのは本人なのかファンドマネージャーに管理させるのか。専門家には継続的に関与してもらうのか、スポットでの関与なのか。彼らに主体的に動いてもらうために最適な報酬体系は何か。などを決めていく流れになります。
ALAN:つまり、チームは作って終わりではなく、「どう機能させるか」が大事ということですね。まるで企業経営のように、資産管理にも指揮系統と仕組みが求められるんですね。
質問4:先生の視点から見て、日本にしか拠点がない専門家と、岡本先生のようにドバイ現地に拠点を持つ日系の専門家では、お客様に提供できる価値にどのような違いがあるとお考えですか?
私は大手監査法人の国際部で4年間、日本で税理士法人を10年間自ら経営してきて、その後UAEに移住し3年ほど業務に取り組んできました。日本での税務経験は間違いなく移住支援時に生きていますし、UAEでは現地の税制知識や英語能力を補完するため、現地の専門家とチームとして動いています。
ドバイ進出のご支援をするのであれば日本とドバイ両方の税知識が必要になりますし、国際税務の分野で15年を超える経験をしている人はあまりいないと思います。
税務において「攻めのアドバイス」をすることは、保守的なアドバイスをすることよりも何倍も知識や経験が必要になります。私はそういった攻めのアドバイスが出来る専門家であるという自負がありますし、これからもそうあり続けたいといつも思っています。
ALAN:目の前の不安を取り除くだけでなく、その先にある可能性を一緒に描いてくれる存在が本当に信頼できるパートナーなのかもしれませんね。そんな専門家に出会えたら、本当に心強いですね。
質問5:最後に、本シリーズを締めくくるにあたり、ご自身の未来のために資産を築き、守ることを真剣に考えている日本の富裕層・経営者の皆様へ、岡本先生から最も伝えたい力強いメッセージをいただけますでしょうか。
現在、日本は社会保険や税制も含めて非常に重い負担を強いられており、GDPも他国に抜かれ、このまま日本にいてもいいのか、家族を守り続けられるのかと心配されている方も多いと思います。私も子を持つ父として、常にそういった不安は尽きません。
とはいえいきなり海外に移住・進出でやっていけるのか、日本を見捨てたことにならないか、と考えていらっしゃる方もいらっしゃいます。真面目に頑張ってきた経営者の方ほどそのように考えられている傾向があると思います。
日本国憲法22条第2項には、以下の記載があります。
「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」
海外に移住して移り住むことは憲法で定められた権利であり、誰に咎められることでもありません。我々には国籍すら離脱する自由があります。
税務上のことだけを言えば、国籍を捨てずとも居住地を変え、非居住者となることで、自分の好きな国に納税することもできるのです。居住地程度であれば、失敗したら日本に戻ってくるのも自由です。
人生一度きり、長いようで短い人生において、そういった経験をしてみる時間があってもよいのではないでしょうか。
そういった勇気ある挑戦を、ALAN社・岡本一同、心より応援します。

< 筆者紹介 >
岡本 信吾(Shingo Okamoto, CPA)
Alwasiq Management Consultants ジャパンデスク責任者 / 公認会計士(Certified Public Accountant)
ドバイ在住の会計・税務アドバイザー。大手監査法人EYにて5年間勤務した後、東京都港区にて税理士法人を開業。現在はUAE(ドバイ)のAlwasiq Management Consultantsにて、ジャパンデスクを率い、100社以上の日系企業を対象に、国際税務・法人設立・資産管理に関するコンサルティングを提供中。
「日本とドバイをつなぐ税務のプロフェッショナル」として、クロスボーダー取引・ドバイ進出支援を行っています。
🌐 公式サイト:https://alwasiq.net/jp/



